学生諸氏へ

教養部は愛知学院大学の教養教育を担っているところです。大学の教育は教養教育と専門教育の二つで構成されていますが、教養教育は「学び」の基礎となり、専門分野の考えを広げ、さらには深めるものになります。たとえば、文系分野だから、数学は必要ないと考える人も多いでしょうが、人工知能(AI)時代となって、文系分野でも数学の知識や考え方が必須となり始めています。
教養教育は役に立たないという人もいます。確かに専門的な知識やスキルのようにすぐには役に立たないこともあるでしょう。しかし、すぐに役に立たないことが「いつかは役に立つ」こともあるものです。ビジネスパーソンが多く読む日本経済新聞の中では文化面や芸術面がよく取り上げられています。これはエンターテイメントがビジネスだからというだけでなく、文化的・芸術的な素養に代表されるように、幅広い教養がビジネスをする上でも、あるいはビジネスを離れた私的な生活の中でも重要であると認識されていることの証だと言えるでしょう。
専門分野の知識や考え方を掘り下げていくのが縦の方向だとすれば、教養は掘り下げる穴の口を広げていく横の方向と言えるでしょう。穴の口が小さければ、浅い穴しか掘れませんが、穴の口が広ければ、深い穴が掘れます。教養教育では百科事典のように広い分野を網羅していますが、ここにはみなさんの将来、あるいは人生に光を与えてくれる原石が隠れていると確信しています。